報道とメディアを考える会の立場について

「報道とメディアを考える会」は、コンプライアンスに基づき、メディアウォッチをする有志市民のグループです。
メディアウォッチ活動においては、特定の政党や思想信条に基づくことを排除しており、メンバーは、それぞれの思想信条にもとづき、個別に政治活動や投票行動を行っています。

したがって、特定の候補者を会として支援することはありません。

お問い合わせがあったため、あえて会としての立場を掲載する次第です。

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『我が輩は鳩である』

報道とメディアを考える会メンバーが、自主制作した映像を寄せてくれました。会のレポートではシリアスタッチの彼も、今回は、BBCなど世界をまたにかけるコメディアンの地で制作。面目躍如ですね♪

[YouTubeの説明文より]
投票前に必見! ああ、政権交代が待てない...... みなさん、ついに待ちに待った衆院選挙2009がやってきます!国益にかなう一票を投じるためにも、8月30日までに「我が輩は 鳩である」を毎日、一度はみましょう。しかもなんとあの マイケルが友情出演?! ....そして奇跡のMoonwalkを披露.......

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★新聞記者の品格と報道〜千葉県知事会見をめぐって

■地方自治情報はネタもとにあたれ

Morita_3

 このところ、地方自治がマスメディアに採り上げられることが多くなったように思う。6月14日、31歳という最年少で当選した熊谷俊人氏の市長選もTVのニュースワイドの話題になっていたし、宮崎県知事や大阪府知事に加え、千葉県知事もなにかと露出度が高くなっている。「地方から国を変える」気運の高まりは大歓迎だが、気になることもある。
つまり、マスメディアの記者や制作者などによって「なにが」選ばれ「どう」伝えられるかだ。とくに新聞メディア報道は、「だれ」が発信しているのかあえて隠すという「匿名性」をもっているから、なおさらややこしい。こういった場合に我々がまず行なうのは、ネタモトにあたるという鉄則だ。メディアミックス時代のいま、我々市民・国民は、記者クラブには入れずとも、たいていの報道発表資料はネットを通じて入手できる。国や政党、自治体でも充実したホームページをもっているし、内容も多岐にわたっている。マスメディア記者など発信者のフィルターを通さずに、自分の目と耳と頭で情報をとらえる機会が与えられているわけだ。


■悪意に満ちた千葉県「情報隠し」報道

 そんななかネット配信で「森田知事会見動画、尻切れ 政治資金やパチンコはカット 県HP /千葉県」という朝日新聞の記事(2009年5月16日/ちば首都圏版=資料1=pdf)が目にとまった。ネット配信期限が切れているので、前文を紹介すると……

     *      *      *      *

 県の運営するホームページ(HP)で、4月30日と今月14日にあった森田健作知事の定例会見の動画が会見途中で終了している。就任直後の会見は冒頭から終了まで放送した。しかし、今回は政治資金の問題や知事が過去に主演したドラマをテーマとしたパチンコ台についての質疑部分が流れていない。県は「サーバーの容量の問題」としているが、知事の「マイナスイメージ」と取られかねない質疑のカットは「情報隠し」との批判を招きそうだ。
(安原裕人)

    *      *      *      *

「情報隠し」という強い表現に、(市民・国民の情報収集にとって)ゆゆしき事態か……と、同日の「知事定例記者会見概要」(テキスト版=資料2)を確認してみたところ、「おれは男だ」をキャラクター化したパチンコ台についての質疑応答は4月30日分に、ちゃんと記載されていた。

     *      *      *      *

(記者) 知事がメーンキャラクターのパチンコ台があるそうですが、それに関して、いつ依頼を受けて、どのような意図でオーケーをされたのか、伺いたいと思います。
(知事)それは3年前、これはサンミュージックプロダクション、私のプロダクションです。今、韓流も含めて、いろんなドラマだとか、いろんな人がパチンコの台でこういうのがあると、そういう話が来ました。ただ、そのときは森田健作というよりも、あのころの「おれは男だ」というドラマでやりたいんだと、そういう話をプロダクション側が受けたのです。それで、私もそれはいいんじゃないのと。
実は、パチンコ台が出る予定だったのが1年前だったのです。ところが、いろいろあって、今というか、もうそろそろかなと、そのように思っております。

出典:千葉県HP 知事定例記者会見 会見録(2009年4月30日)より

     *      *      *      *

テキスト版の会見録で、情報公開されているものが「情報隠し」にあたるはずがないだろう。いにしえのドラマのパチンコ台化は、知事選以前の芸能活動へのオファーであったことやサンミュージックプロダクションが権利主体であることも述べられている。また、16日の政治資金規制法に関する質疑も同様。(森田知事の政治資金管理団体の収支報告書のことだから)事務所に確認して答えると応じている。(資料2)

■芸能プロによるパチンコ台は県政……?

 知事の会見動画や会見録などを確認して、気づいたことがある。それは記者会見に参加しているマスコミ各社のうち、朝日新聞の記事を書いたY記者と、パチンコ台についての質問をした読売新聞のH記者の質疑応答が、突出して、トンチンカンであることだ(資料3)。
 いうまでもなく、県知事の記者会見は、県政についての発表と質疑応答を行なうために開かれている。4月16日を例にとれば、この日の会見テーマは「八都県市首脳会議の千葉県提案(東京湾アクアラインの値下げ)について」や「防災誌「関東大震災」〜千葉県の被害地震から学ぶ震災への備え〜の発刊について」など4項目。いかに彼らの質問がテーマと乖離しているか判るだろう。
 また、朝日新聞記事をみる限り、そういった質問は、あらかじめ意図されている可能性も否定できない。記事中ではテキストに掲載されている事実は隠蔽され、「情報隠しという批判」や「マイナスイメージ」(前出記事)を作り出すことが目的なのではないかと勘ぐりたくもなるのだ。付け加えれば用意周到に「批判を招きそうだ」という、断言を避けた、誰も責任を問われないような記述で締めくくっている。実際、いくつかのブログや掲示板サイト、ネットニュースサイトでは、「動画カット」や「情報隠し」の部分のみが一人歩きを始めている。まさに記者の意図のとおりに世論が動いているようにも見えるのだ。

 新聞をはじめとするメディアには、「権力のウオッチドック」としての役割があるといわれる。もちろん表現の自由もあるだろう。それにしても……正確さと品格に欠いた記事に翻弄されるのは、メディアの受け手である我々自身であるのだ。

■ 新聞記者の役割と品格を問い直す

 メディアにはおのずと媒体特性というものがある。しかし、パチンコ台も政治資金問題も、いずれも定例知事会見に参加する新聞社に相応しいテーマとは考えにくい。
 政治資金の問題であれば事務所(政治資金管理団体)に取材すればよいし、タレント活動についてであれば、所属芸能プロダクションに取材すればよいだろう。素人見では、こういった話題はたいてい、週刊誌にレポート記事が発表され、TVのニュースワイドなどが後追い企画を報じたり、月刊誌で議論されるような類(たぐい)のものだと思えるのだが、どうだろうか。
 新聞人は「正確と公正」と並び「品格と節度」が求められているというが(新聞倫理要綱:資料4)、本来のテーマからはずれた週刊誌的な質疑及び結果としての記事は、記者クラブという特権をもった大マスコミの記者がほんとうに「この場で」なすべきことだったのか。以下の政治報道についての記述は、国政を県政に読み替えれば、明快な回答を示している。

「政治報道とは何か。(中略)
簡単に定義すれば、憲法によって保障されている議会制民主主義の下、主権者である国民が選挙で選んだ国会議員と、国会議員などの政治家が構成する政党、内閣の下にある行政機関が、国会審議などを通じて、何を決めようとしているのか、あるいは、何を決めたかという事実を、早く正確に伝え、同時にそれが、日本の外交・内政に、主権者たる国民に、どのような影響を与えるのか、わかりやすく解説していく、ということだろう」
[日本評論社/浜田純一他編/新訂『新聞学』/第5章主要な報道分野とジャーナリズムの課題(西野秀):資料5より抜粋]

 一つの記事やニュースについて、ネタモトを確認し、調べるには大変な労力がかかる。しかしときには、当事者の情報発信=ネタモトをのぞいてほしい。あるいは、大マスコミの記者たちも、高邁な倫理観に反してこの程度であることを肝に銘じ、日々のニュースに接するべきだという教訓だけは生かしてほしい。

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野党党首お膝元の廃屋

TVのワイドショーをつけっ放しでPCに向かっていたら、我々が白鳥大橋レポートのために滞在した町、室蘭市中央地区が「倒壊寸前の廃屋のまち」として話題になっていた。室蘭市の中央地区は、昭和40年代後半までは、「人の肩にぶつからずに歩けないくらい」賑わったという(元)歓楽街だが、いまや見る影もない。日中でも、夜の8時すぎでも、一人も見かけない瞬間があったくらいなのだ。
我々の取材中にも、(元)目抜き通りの交差点の角にある(元)拓銀支店の建物が、封鎖されたまま放置されているのを目の当たりにしたし、「大地震でもあったら一巻の終わり」といった風情の廃屋を何軒も見かけて恐怖を覚えた。無人と思われるビルや商店、住宅は、数しれない。
この廃墟のまちへとつなげるために建設されたのが、かの白鳥大橋(総工費1152億円)。その景観のあまりの落差にただただ唖然とするばかりだったことは、映像からくみ取っていただけるだろうか。
ワイドショーの番組内では、各地で問題となっている「町」の廃墟問題について、コメンテーターらは、いつものように、国や政権政党の責任を連呼する。が、シャッター通り商店街だけでなく、そのまちから車で2〜3分の周辺(=白鳥大橋)についてもレポートし、真の問題点を浮き彫りにしてほしい。
ちなみにこの番組では、間髪をあけず別コーナーで、政界を賑わす「2羽の鳩」(鳩山由紀夫・鳩山邦夫)の生い立ちやいきさつについてレポート。もちろん政権政党に批判的な視点を絡めながら、である。彼ら(制作・発信側)には一つの矛盾もないらしい。

[参考資料]
○札幌TV放送
http://www.stv.ne.jp/tv/dnews/past/index.html?idno=20090604155405
○室蘭民報
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2009/05/28/20090528m_03.html

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★またまた古舘(2) BPO裁定も視聴者も愚弄

BPOがテレビ朝日へ重大な放送倫理違反を勧告したことに対し、当の報道ステーション番組中では一般視聴者へ説明がどうなされたのか……。わずか1分半という短時間だったから、録画から文字おこしをしてみた。

◆ 新聞社のネットニュースと大差ない内容

○河野明子
BPO放送倫理番組向上機構の放送人権委員会は、テレビ朝日に対し、報道ステーションの土地改良区と横領事件に関する放送の中で、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があったとして、今後は放送倫理や人権にいっそう配慮するように勧告しました。
○挿入VTR+「テロップ」
・報道ステーション「『徳島6億円横領事件』報道に関連し、全土連や土地改良事業の仕組みなどを放送」
・ 野中弘務 元官房長官(全土連会長)「あたかも政治力で膨大かつ不要ともいえる事業を持ってきたかのような報道だ」
・BPO放送人権委員会の勧告「放送は野中氏に対する名誉毀損には当たらないが──」
○ 河野明子
番組では去年7月に徳島県で起きた「6億円横領事件」に関連して全土連、全国土地改良事業団体連合会をとりあげ、土地改良事業の仕組みなどについて放送しました。
これに対し、全土連会長の野中広務元官房長官が「あたかも政治力で膨大かつ不要ともいえる事業を持ってきたかのような報道だ」として、BPOに名誉と信用の回復などを訴えて申し立てていました。
BPOの放送人権委員会は、まず、「放送は野中氏に対する名誉毀損には当たらないが、全体の構成やキャスターコメントなどを総合的に考慮すると、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があった」とテレビ朝日に勧告しました。また委員会決定では「真実性の証明がない」などとして、名誉毀損に該当するとの少数意見も付け加えられています。
○古舘伊知郎
報道ステーションでは、この委員会の決定内容というものを真摯に受け止めまして、放送倫理、そして人権に十分に配慮して精進していくつもりであります。

*出典:報道ステーション(テレビ朝日/2009.3.30 22:26:22〜22:27:56)

◆ 当の報ステでも一般ニュース扱い

翌日の報道ステーションの録画も確認したが勧告に一切触れられることもなく、番組がこの件にふれたのはこれだけ。BPO勧告に対する対応というよりも、ただのニュースとして扱っているような印象で、新聞社から配信されるネットニュース以下の内容といわざるをえない。またどのように受け止め、配慮していくのかという具体的な姿勢が示されることすらないのもこれまで通りだ。
放送倫理規約にある「民主主義の精神にのっとり、放送の公共性を重んじ、法と秩序を守り、基本的人権を尊重し、国民の知る権利に応えて、言論・表現の自由を守る」という観点からみても、あまりにおそまつで、視聴者及び国民を愚弄した内容であると感じた。

報道ステーションのホームページではこの件に関し、実際、「過去のニュース」の項で扱っているだけ。またテレビ朝日では、4月5日(日)午前4時50分〜の「はい! テレビ朝日です」(広報番組)で、認定内容を放送することを明らかにしている。が、早朝という放送時間設定も含め、「真摯に受け止めている」姿勢といえるのだろうか。

◆政治に係わるテーマはとくに告知する努力を

今回、BPOへの野中広務氏の申立てが「放送人権委員会」になされたことに対する疑問は、委員会決定レポートのなかでも、少数意見として採り上げられていた。しかし今回の裁定は、我々一般視聴者及び国民にとって、下記の意味で、非常に有意義なものであったといえるだろう。

(1)「報道番組の全体的な構成、これに登場した者の発言内容や、画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報はもとより、映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに、放送全体から受ける印象等を総合的に考慮」(BPO 委員会決定P14)されたこと。
(2)また(1)にそって、逐一、詳細に事実関係の確認が行われたこと。
(3)その結果として「勧告」という結果が出たこと。

ただし、BPOの役割は「番組を監視して罰するところではない」ものの、BPO裁定がどのように番組向上に反映されていくのかは、放送事業者が自主的に問題解決することに委ねられており、光市母子殺害事件に関する放送(BPO放送倫理委員会決定第04号)など、これまでの経緯を見ると、結果として、機能が十全に果たされているとはいえないのではないだろうか。
放送業界人にあっては性善説に基づいたルールでは、言論や表現の自由ばかりがひとり歩きしてしまい、存在意義や目的を達成できないに違いない。

とくに政治報道に関しては、国民の投票行動、そして国の未来を左右するという重大な意味をもっているはずだ。
委員会決定など政治や政治家が関係する案件については、当該番組中やゴールデンタイムのニュースなどで、一定内容を告知するという進言さえもできないのだろうか。あるいはBPO自身が番組をもち、YouTubeで流すなど、いくらでも方策はあるのではないだろうか。
せめて委員会決定など、BPO裁定後、当の放送局や番組が、その件にどのように対応し、また実行したかという「後追い調査」は、「放送倫理の高揚に寄与」することを担うBPOの責任の範疇ではないか。

報ステ及び古舘伊知郎が、委員会決定後、その言葉通り「真摯に受け止めまして、放送倫理、そして人権に十分に配慮して精進して」(古舘発言:報道ステーション2009.3.30)いるか、ぜひウオッチしてもらいたい。なぜなら我々の調査や実感では、実行に移されたことすらないからだ。

結局、放送倫理や番組向上は、我々国民一人ひとりが声をあげることに委ねられており、国民の知る権利に資するという意味では、BPO及び放送局、番組にあっては、いっそうの告知や広報、情報公開を求めたいと考える。

【参考資料】
*1 報道ステーション 過去のニュース(3月30日)
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/bangumi/hst/news/detail.php?news_id=6249

* テレビ朝日広報番組「はい! テレビ朝日です」
http://www.tv-asahi.co.jp/hai/

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★ またまた古舘(1) BPO 報ステに重大な倫理違反勧告

お花見気分で浮かれようとしていたら、BPO(放送倫理・番組向上機構)が報道ステーションに重大な倫理違反勧告を行ったというニュースが飛び込んできた。

◆「見解」より重い「勧告」は4年ぶり

具体的には、7月23日の報道ステーション(テレビ朝日系列)で、「徳島・土地改良区横領事件報道(60歳の女性職員が6億円を横領した事件)」に際し、事件とは直接の関係はない全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会長・野中弘務氏の映像を挿入し、またこれを受けて、キャスター古舘伊知郎氏が土地改良区の事業に対する補助金に対し「じゃぶじゃぶ使われているきらいがある」等とコメント。
野中弘務氏は「作為的編集がなされた」として、放送5日後にテレビ朝日に抗議したが、決着が得られなかったため、10月17日、BPO「放送と人権等権利に関する委員会」に名誉・信用の侵害を申立てたものだ。
BPO「放送と人権等権利に関する委員会(通称:放送人権委員会)」ではこれを審議し、3月30日、「見解」より重い「勧告」を4年ぶりに認定したわけだ。

◆A4/30ページの委員会レポートには真実がある

BPOの委員会では、申立て内容を詳細に検討した「決定」(*1)を約30Pのレポートにまとめ公表している。
具体的には、名誉毀損など「申立人に対する人身攻撃に及ぶものではない」と前置きしながらも、「被申立人(つまりテレビ朝日と報道ステーション)の本件放送当時の裏付け取材の範囲を超え、断定的に、一般の視聴者にすべての補助金が適正に使用されていないのではないかという認識を与えかねない不適切な表現と言わざるをえない」等、放送倫理違反があったと認定している。
レポートのなかで印象的だったのは、最高裁判決の引用を明示していたこと。
放送メディアの特徴を言い得ているので、長くなってしまうが引用してみよう。

      *     *      *     *

テレビジョン放送をされる報道番組においては、新聞記事等と異なり、視聴者は、音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり、録画等の特別の方法を講じない限り、提供された情報の意味内容を十分に検討したり、再確認したりすることができないものであることからすると、<u>当該報道番組により摘示された事実がどのようなものであるかという点については、当該報道番組の全体的な構成、これに登場した者の発言の内容や、画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより、映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して、(放送全体から受ける印象等は=筆者注)判断すべきとされるのである。(最高裁平成15年10月16日判決民集57巻9号1075頁)

出典:『権利侵害申立てに関する委員会決定「徳島・土地改良区横領事件報道」P9(BPO/2009年3月30日)


◆放送倫理違反は法律違反?

ちなみに、「放送倫理(違反)」は、放送倫理基本綱領など(*2)独自のルールに基づいたもので、いわゆる法制度ではない。
また、BPO裁定は、「放送事業者とっては、いわば最高裁判決のようなもの」といわれるものの、罰則や懲罰規定も見あたらず、強制&矯正力については、いささか疑問があると考えざるをえない。いわば、放送倫理を遵守し、裁定に従うかどうかは、マスコミ各社、またマスコミ人各自など(性善説に基づいた)現場の判断に委ねられざるをえないのではないか。
ということは……?

もちろん、言論と表現の自由を担保することは不可侵。
しかし、第三者の立場を貫いているとはいえ、NHKと民放連、民放各社によって出資・組織されたBPOの、せっかくのルールや裁定が、我々視聴者のため、いかに日々の放送・報道に反映されていくかが、本来の課題だろう。

◆ ぜったいに謝らないもうひとりの「いちろう」

我々からみれば、同じ報ステの、同じようなイメージ誘導画像・映像挿入手法を使ったことに関する申立て「かりゆし映像挿入疑惑」(*3)に関しては、我々の調査と比しても事実検証にさえ欠け、また業界団体の身内かばい的な、つまり、自浄力のなさを露呈したかのような裁定であったと明言できる。

ちなみに3月30日の報道ステーションでは、このBPO裁定に関し、10時22分ころ、約1分半だけのコーナーを設けた。詳しくは次回検証。


【出典・参考資料など】
*1)BPO 放送人権委員会 委員会決定(第39号pdfをダウンロード)
http://www.bpo.gr.jp/brc/decision/031-040/index.html
*2)BPO規約
http://www.bpo.gr.jp/bpo/overview/bpo.html
 放送倫理基本綱領
http://www.bpo.gr.jp/bpo/overview/general.html
*3)報ステとBPO:カテゴリーの「放送倫理・BPO」などを参照してください。
http://mediawatch.cocolog-nifty.com/blog/bpo/index.html

*その他参考記事
○時事ドットコム (2009/03/30-18:43)
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a3%c2%a3%d0%a3%cf&k=200903/2009033000797
○東京新聞/2009年3月31日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009033102000045.html

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☆あらためて小沢・陸山会・政治資金規正法


*その他の関連ブログ記事もご覧ください。

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♭無手勝流「インタビュー世論調査」を敢行

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♪大マスコミの世論調査と麻生「あげ足とり報道姿勢」

めまぐるしく変わる国際金融情勢および社会情勢、政治状況のなかで、メディアウォッチや分析がおいつかないまま、時間ばかりが過ぎてゆく。
この3ヶ月間の「報道とメディアを考える会」メンバーの関心事といえば、筑紫哲也氏が遺した言葉「ジャーナリストの役割は権力を監視する番犬」だったり、元厚生事務次官刺殺事件の一面的な報道のされ方(故人の「わたり」と受け取った退職金については触れられることがない)のほか、年末年始のニュースを独占した日比谷公園の「年越し派遣村」の似通った報道内容など。
先日は、『週刊新潮』(2009年2月5日号)に87年の朝日新聞阪神支局襲撃事件(02年に公訴時効)実行犯と名乗る男の手記が掲載されたが、これについてはテレビではほとんど取り上げられなかったように思う。当の朝日新聞では1月29日付の夕刊で、手記は事実と食い違う旨の524文字の記事があっただけ。ジャーナリズムの根幹をゆるがした大事件、「事実と食い違う」ということを喧伝しないのは少々不自然ではないか、等と考えているうちに、次の関心事が浮上し、かたちにならないまま、時間が過ぎてしまったというわけだ(事件と朝日新聞のいう事実関係の食い違いについては『週刊文春』2月12日号に詳しい)。
もちろん「定額給付金」論議をはじめとする麻生内閣の施策や予算委員会でのやりとり、急落した麻生内閣支持率をはじめとする世論(調査)の動向……等々は、重大な関心事であることはいうまでもない。2月9日の朝日新聞一面にも、極太文字で「内閣支持率最低の14%」という文字が躍った。

◆ 6万4000人が「麻生内閣に対する報道姿勢にノー」

昨年末、ニコニコ動画「ニコ割アンケート」(2008/12/16 :株式会社ニワンゴ)で、興味深い世論調査結果が出ていることを知った。麻生内閣支持率や政党支持率に並ぶ設問で、「麻生内閣に対する報道姿勢にノー、79.2%」という結果が出たのだ。
具体的には、「麻生内閣に対する報道各社の姿勢について、どういう印象をもっていますか?」という問いに対し、「国民にとって重要なことを報道してくれている」(5.6%)、「特に問題はないと思う」(15.2%)を大きく引き離し、「あげ足取り的な報道が多すぎる」と回答した人が、約8割にのぼった。
国民のメディアリテラシー力向上をねがう我々にとって、興味深いニュースであったことはいうまでもない。

JNN(TBS系)やANN(テレビ朝日系)、FNN(フジテレビ系)など、大マスコミの世論調査は、TVのニュースやワイドショーのほか予算委員会の質疑などでも、例えば「国民の8割が反対している定額給付金」といった具合に、繰り返し採り上げられている。しかし、ニコ割の調査結果がそういったオモテ舞台に出てくることはないし、メディア接触の主体がテレビである人が知ることはないだろう。まして、大マスコミの報道姿勢に対する(都合の悪い)結果なら、なおさらだ。
ちなみに12月時点でのニコ割の麻生内閣支持率は、32.8%(直近の1月28日調査で30.2%)。冒頭の朝日新聞社の世論調査結果(14%)と見比べてほしい。割合では、およそ倍数なのだ。ニワンゴでは、「新聞やテレビなどの調査結果に比べて、ネットでの支持率が高い」(ニワンゴ 2008年12月17日プレスリリースより)と説明しており、調査対象者年齢の違いなどは容易に想像できるとしても、この大きな差異は、どうも不可解だ。

◆調査方法・概要を確認する習慣をもとう

我々一般市民は、世論調査結果いえば、あたかもそれが唯一無比の正しい数字であるかのごとく、鵜呑みにしてしまいがちだ。しかし、内閣支持率に、媒体社により差が出ているのは何故か。また、「定額給付金制度に反対が8割」といった場合のもとの調査では、どういった文言の設問や回答項目であるのか、調査対象のサンプル数、調査方法等、調査概要を確認する習慣をもちたい、多くの人たちにもってほしい、と思う。
例えば、定額給付金に関して、賛成・反対の割合で論じられがちだが、実際の調査では、(定額給付金制度について)「評価する・評価しない」(FNN)であるなど、いわゆる「反対」とは、微妙にニュアンスが異なっている場合がある。
しかも、JNNの調査では「給付金制度に対するあなたの考え方に最も近いモノを」選択する方式で、「非常に評価できる」「ある程度評価できる」「あまり評価できない」「まったく評価できない」の4段階のなかからしか、選択できない。
回答者の立場に立てば、「どちらでもない」(評価ゼロ)をまんなかに加えた5段階であるほうが答えやすく、リアルな結果がでるのではないかと素人考えで思うのだが、この中間層を、敢えて振り分けさせたいという回答設定の意図が読み取れるのだ。

◆RDD方式では高齢者や主婦の回答者が多くなる

近年の調査法の特徴に、コンピュータ活用がある。例えばいまや世論調査の主流になっている「RDD(電話)方式」。RDDは、Random Digit Dialingの頭文字で、コンピュータの乱数計算を元に電話番号を発生させて架電、応答した相手に、コンピュータの音声で質問しプッシュホンで回答する方法だ。電話帳に非掲載の世帯も対象にできるなど、一見、恣意や作為が入り込めず、公正・公平な調査に思える。
しかし、冷静に考えてみればわかるように、そもそも「固定電話」はどういう人がとるのか……が調査結果を左右する。RDD方式の回答者は一般に下記のような傾向があるといわれている。
  ・高齢者>若者
  ・女性>男性
  ・無職(専業主婦・年金生活者)>有職者
  ・一戸建て>マンション
  ・町村>大都市
つまり、高齢者・女性・無職・一戸建て・町村の方に偏った意見を収集してしまう。また単身者世帯が急増するなか、携帯電話やIP回線だけで、固定電話そのものをもたない層も出現しているが、こういった層の意見は、まったく反映されないことになる。
このほか、RDD方式では、調査主体に好意的であるかどうかで、回答率や回答内容が左右される傾向にあるそうだ。例えば、朝日新聞社の世論調査には回答拒否しても、NHK調査には応じる……といった人たちがいることは容易に想像できるだろう。我々「報道とメディアを考える会」メンバー間では、全員が職業をもち、多忙であるせいか、自宅で世論調査の電話を受けたとしても、朝日新聞社もNHKにも、「回答する」者は皆無だったことを申し添えよう。実際、あなたなら、どうするだろうか。

◆朝日新聞社の40倍の母数をもつニコ割世論調査

ところで、こういったRDD方式のデメリット等についても、統計学的には、調査対象全体の母数(サンプル数)が大きければ、大きいほど、より正確な世論を反映すると考えられる。しかし、各社の母数(有効回答数)をみてみると、下記のとおりで、(あんなに大々的に喧伝するのに)意外と少ない、と感じてしまった。「ニコ割」(08年12月16日実施)では8万616人と、朝日新聞のサンプル数の約40倍だったからだ。

・ 朝日新聞社世論調査(2月7・8日実施)………………………2036
・ JNN世論調査(2月7・8日実施)……………………………1200
・ 報道ステーションANN世論調査(1月11・12日実施)……1000

インターネット調査は、もちろんPCおよびインターネットユーザーでなければ回答できない、サイト自体の特徴や特殊性による嗜好など、回答者プロフィールによるバイアスがあることは理解できる。しかし、8万人超の意見を吸い上げていることは事実なのだ。大マスコミはこの意見にも耳を傾けるべきだ。

ここで、ニコ割アンケートの調査方法を紹介しよう。
ニコニコ動画で、動画を視聴中の全ユーザーを対象に行われるもので、アンケート開始時に動画再生部分で一斉に実施されるもの。アンケートの開始時や日程は不定期でしかも告知していないため、多くのユーザーの意見が反映される仕組みになっている。もちろん、インターネットを使う、動画を見ている、ニコニコ動画のユーザーが対象でしかないから、若年層が多く、世論一般とはいえないし、実施主体もその点は、よく理解したうえのデータであることを強調している。

ニワンゴではこの独自の調査方式について、「ネット世論調査は、不特定多数のユーザーが、同時刻にアンケートに参加するという調査形態であるため、これまでのネットを活用したアンケートと異なり、組織的な投票が非常に困難になっています。また、また従来ネットでは、声の大きな少数派の意見がクローズアップされる傾向にありましたが、(中略)リアルなネット全体の意見調査が可能です」(2008年12月17日 プレスリリースより)と説明している。

いずれにしろ、世論調査結果は、そのまま一人歩きする数字を鵜呑みにするべきではないということだ。とくにTV画面のショルダーに出てきたときには要注意。いまはホームページなどで確認できるので、ネタもとにあたり、複数の調査を読み比べ、また国会やTV番組などで、どう使われてゆくかを一人ひとりが自覚的にウォッチして読み解くことが必要だろう。

少なくとも、麻生バッシングの報道姿勢に対し、ニコ割回答者の約8割、つまり約6万4000人が、「あげ足とり」的な報道姿勢を問題視したのは事実だ。
世論調査のあり方や数字に対しても、国民は、いずれはいまと違った考えをもつようになるのではないだろうか。
地上波TVの視聴率も低迷し、新聞購読者数も激減するなか、大マスコミは国民(=情報の受け手)のジャーナリズムに対する期待を忘れて、「裸の王様」のまま歩み続けてしまうのだろうか。


[参考サイト]
★最新版! ネット世論調査「内閣支持率調査 2009/01/28」ニコニコ動画
(登録が必要)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5973257

◆ ニコニコ動画 ニコ割アンケート結果(2008.12.17)
(動画版)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5566789
(テキスト版:調査の結果詳細)
http://www.nicovideo.jp/static/enquete/o/20081216.html

◆(株)ニワンゴ プレスリリース(2008.12.17のpdf)
http://info.niwango.jp/press/2008.html

◆JNN世論調査(TBS系)
http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/shijiritsu/

◆報道ステーション・ANN世論調査(テレビ朝日系)
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/contents/PublicOpinion/cur/index.html

◆朝日新聞 世論調査 質問と回答(2009.2.9)
http://www.asahi.com/politics/update/0209/TKY200902090263_01.html

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