★新聞記者の品格と報道〜千葉県知事会見をめぐって

■地方自治情報はネタもとにあたれ

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 このところ、地方自治がマスメディアに採り上げられることが多くなったように思う。6月14日、31歳という最年少で当選した熊谷俊人氏の市長選もTVのニュースワイドの話題になっていたし、宮崎県知事や大阪府知事に加え、千葉県知事もなにかと露出度が高くなっている。「地方から国を変える」気運の高まりは大歓迎だが、気になることもある。
つまり、マスメディアの記者や制作者などによって「なにが」選ばれ「どう」伝えられるかだ。とくに新聞メディア報道は、「だれ」が発信しているのかあえて隠すという「匿名性」をもっているから、なおさらややこしい。こういった場合に我々がまず行なうのは、ネタモトにあたるという鉄則だ。メディアミックス時代のいま、我々市民・国民は、記者クラブには入れずとも、たいていの報道発表資料はネットを通じて入手できる。国や政党、自治体でも充実したホームページをもっているし、内容も多岐にわたっている。マスメディア記者など発信者のフィルターを通さずに、自分の目と耳と頭で情報をとらえる機会が与えられているわけだ。


■悪意に満ちた千葉県「情報隠し」報道

 そんななかネット配信で「森田知事会見動画、尻切れ 政治資金やパチンコはカット 県HP /千葉県」という朝日新聞の記事(2009年5月16日/ちば首都圏版=資料1=pdf)が目にとまった。ネット配信期限が切れているので、前文を紹介すると……

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 県の運営するホームページ(HP)で、4月30日と今月14日にあった森田健作知事の定例会見の動画が会見途中で終了している。就任直後の会見は冒頭から終了まで放送した。しかし、今回は政治資金の問題や知事が過去に主演したドラマをテーマとしたパチンコ台についての質疑部分が流れていない。県は「サーバーの容量の問題」としているが、知事の「マイナスイメージ」と取られかねない質疑のカットは「情報隠し」との批判を招きそうだ。
(安原裕人)

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「情報隠し」という強い表現に、(市民・国民の情報収集にとって)ゆゆしき事態か……と、同日の「知事定例記者会見概要」(テキスト版=資料2)を確認してみたところ、「おれは男だ」をキャラクター化したパチンコ台についての質疑応答は4月30日分に、ちゃんと記載されていた。

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(記者) 知事がメーンキャラクターのパチンコ台があるそうですが、それに関して、いつ依頼を受けて、どのような意図でオーケーをされたのか、伺いたいと思います。
(知事)それは3年前、これはサンミュージックプロダクション、私のプロダクションです。今、韓流も含めて、いろんなドラマだとか、いろんな人がパチンコの台でこういうのがあると、そういう話が来ました。ただ、そのときは森田健作というよりも、あのころの「おれは男だ」というドラマでやりたいんだと、そういう話をプロダクション側が受けたのです。それで、私もそれはいいんじゃないのと。
実は、パチンコ台が出る予定だったのが1年前だったのです。ところが、いろいろあって、今というか、もうそろそろかなと、そのように思っております。

出典:千葉県HP 知事定例記者会見 会見録(2009年4月30日)より

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テキスト版の会見録で、情報公開されているものが「情報隠し」にあたるはずがないだろう。いにしえのドラマのパチンコ台化は、知事選以前の芸能活動へのオファーであったことやサンミュージックプロダクションが権利主体であることも述べられている。また、16日の政治資金規制法に関する質疑も同様。(森田知事の政治資金管理団体の収支報告書のことだから)事務所に確認して答えると応じている。(資料2)

■芸能プロによるパチンコ台は県政……?

 知事の会見動画や会見録などを確認して、気づいたことがある。それは記者会見に参加しているマスコミ各社のうち、朝日新聞の記事を書いたY記者と、パチンコ台についての質問をした読売新聞のH記者の質疑応答が、突出して、トンチンカンであることだ(資料3)。
 いうまでもなく、県知事の記者会見は、県政についての発表と質疑応答を行なうために開かれている。4月16日を例にとれば、この日の会見テーマは「八都県市首脳会議の千葉県提案(東京湾アクアラインの値下げ)について」や「防災誌「関東大震災」〜千葉県の被害地震から学ぶ震災への備え〜の発刊について」など4項目。いかに彼らの質問がテーマと乖離しているか判るだろう。
 また、朝日新聞記事をみる限り、そういった質問は、あらかじめ意図されている可能性も否定できない。記事中ではテキストに掲載されている事実は隠蔽され、「情報隠しという批判」や「マイナスイメージ」(前出記事)を作り出すことが目的なのではないかと勘ぐりたくもなるのだ。付け加えれば用意周到に「批判を招きそうだ」という、断言を避けた、誰も責任を問われないような記述で締めくくっている。実際、いくつかのブログや掲示板サイト、ネットニュースサイトでは、「動画カット」や「情報隠し」の部分のみが一人歩きを始めている。まさに記者の意図のとおりに世論が動いているようにも見えるのだ。

 新聞をはじめとするメディアには、「権力のウオッチドック」としての役割があるといわれる。もちろん表現の自由もあるだろう。それにしても……正確さと品格に欠いた記事に翻弄されるのは、メディアの受け手である我々自身であるのだ。

■ 新聞記者の役割と品格を問い直す

 メディアにはおのずと媒体特性というものがある。しかし、パチンコ台も政治資金問題も、いずれも定例知事会見に参加する新聞社に相応しいテーマとは考えにくい。
 政治資金の問題であれば事務所(政治資金管理団体)に取材すればよいし、タレント活動についてであれば、所属芸能プロダクションに取材すればよいだろう。素人見では、こういった話題はたいてい、週刊誌にレポート記事が発表され、TVのニュースワイドなどが後追い企画を報じたり、月刊誌で議論されるような類(たぐい)のものだと思えるのだが、どうだろうか。
 新聞人は「正確と公正」と並び「品格と節度」が求められているというが(新聞倫理要綱:資料4)、本来のテーマからはずれた週刊誌的な質疑及び結果としての記事は、記者クラブという特権をもった大マスコミの記者がほんとうに「この場で」なすべきことだったのか。以下の政治報道についての記述は、国政を県政に読み替えれば、明快な回答を示している。

「政治報道とは何か。(中略)
簡単に定義すれば、憲法によって保障されている議会制民主主義の下、主権者である国民が選挙で選んだ国会議員と、国会議員などの政治家が構成する政党、内閣の下にある行政機関が、国会審議などを通じて、何を決めようとしているのか、あるいは、何を決めたかという事実を、早く正確に伝え、同時にそれが、日本の外交・内政に、主権者たる国民に、どのような影響を与えるのか、わかりやすく解説していく、ということだろう」
[日本評論社/浜田純一他編/新訂『新聞学』/第5章主要な報道分野とジャーナリズムの課題(西野秀):資料5より抜粋]

 一つの記事やニュースについて、ネタモトを確認し、調べるには大変な労力がかかる。しかしときには、当事者の情報発信=ネタモトをのぞいてほしい。あるいは、大マスコミの記者たちも、高邁な倫理観に反してこの程度であることを肝に銘じ、日々のニュースに接するべきだという教訓だけは生かしてほしい。

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野党党首お膝元の廃屋

TVのワイドショーをつけっ放しでPCに向かっていたら、我々が白鳥大橋レポートのために滞在した町、室蘭市中央地区が「倒壊寸前の廃屋のまち」として話題になっていた。室蘭市の中央地区は、昭和40年代後半までは、「人の肩にぶつからずに歩けないくらい」賑わったという(元)歓楽街だが、いまや見る影もない。日中でも、夜の8時すぎでも、一人も見かけない瞬間があったくらいなのだ。
我々の取材中にも、(元)目抜き通りの交差点の角にある(元)拓銀支店の建物が、封鎖されたまま放置されているのを目の当たりにしたし、「大地震でもあったら一巻の終わり」といった風情の廃屋を何軒も見かけて恐怖を覚えた。無人と思われるビルや商店、住宅は、数しれない。
この廃墟のまちへとつなげるために建設されたのが、かの白鳥大橋(総工費1152億円)。その景観のあまりの落差にただただ唖然とするばかりだったことは、映像からくみ取っていただけるだろうか。
ワイドショーの番組内では、各地で問題となっている「町」の廃墟問題について、コメンテーターらは、いつものように、国や政権政党の責任を連呼する。が、シャッター通り商店街だけでなく、そのまちから車で2〜3分の周辺(=白鳥大橋)についてもレポートし、真の問題点を浮き彫りにしてほしい。
ちなみにこの番組では、間髪をあけず別コーナーで、政界を賑わす「2羽の鳩」(鳩山由紀夫・鳩山邦夫)の生い立ちやいきさつについてレポート。もちろん政権政党に批判的な視点を絡めながら、である。彼ら(制作・発信側)には一つの矛盾もないらしい。

[参考資料]
○札幌TV放送
http://www.stv.ne.jp/tv/dnews/past/index.html?idno=20090604155405
○室蘭民報
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2009/05/28/20090528m_03.html

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★またまた古舘(2) BPO裁定も視聴者も愚弄

BPOがテレビ朝日へ重大な放送倫理違反を勧告したことに対し、当の報道ステーション番組中では一般視聴者へ説明がどうなされたのか……。わずか1分半という短時間だったから、録画から文字おこしをしてみた。

◆ 新聞社のネットニュースと大差ない内容

○河野明子
BPO放送倫理番組向上機構の放送人権委員会は、テレビ朝日に対し、報道ステーションの土地改良区と横領事件に関する放送の中で、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があったとして、今後は放送倫理や人権にいっそう配慮するように勧告しました。
○挿入VTR+「テロップ」
・報道ステーション「『徳島6億円横領事件』報道に関連し、全土連や土地改良事業の仕組みなどを放送」
・ 野中弘務 元官房長官(全土連会長)「あたかも政治力で膨大かつ不要ともいえる事業を持ってきたかのような報道だ」
・BPO放送人権委員会の勧告「放送は野中氏に対する名誉毀損には当たらないが──」
○ 河野明子
番組では去年7月に徳島県で起きた「6億円横領事件」に関連して全土連、全国土地改良事業団体連合会をとりあげ、土地改良事業の仕組みなどについて放送しました。
これに対し、全土連会長の野中広務元官房長官が「あたかも政治力で膨大かつ不要ともいえる事業を持ってきたかのような報道だ」として、BPOに名誉と信用の回復などを訴えて申し立てていました。
BPOの放送人権委員会は、まず、「放送は野中氏に対する名誉毀損には当たらないが、全体の構成やキャスターコメントなどを総合的に考慮すると、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があった」とテレビ朝日に勧告しました。また委員会決定では「真実性の証明がない」などとして、名誉毀損に該当するとの少数意見も付け加えられています。
○古舘伊知郎
報道ステーションでは、この委員会の決定内容というものを真摯に受け止めまして、放送倫理、そして人権に十分に配慮して精進していくつもりであります。

*出典:報道ステーション(テレビ朝日/2009.3.30 22:26:22〜22:27:56)

◆ 当の報ステでも一般ニュース扱い

翌日の報道ステーションの録画も確認したが勧告に一切触れられることもなく、番組がこの件にふれたのはこれだけ。BPO勧告に対する対応というよりも、ただのニュースとして扱っているような印象で、新聞社から配信されるネットニュース以下の内容といわざるをえない。またどのように受け止め、配慮していくのかという具体的な姿勢が示されることすらないのもこれまで通りだ。
放送倫理規約にある「民主主義の精神にのっとり、放送の公共性を重んじ、法と秩序を守り、基本的人権を尊重し、国民の知る権利に応えて、言論・表現の自由を守る」という観点からみても、あまりにおそまつで、視聴者及び国民を愚弄した内容であると感じた。

報道ステーションのホームページではこの件に関し、実際、「過去のニュース」の項で扱っているだけ。またテレビ朝日では、4月5日(日)午前4時50分〜の「はい! テレビ朝日です」(広報番組)で、認定内容を放送することを明らかにしている。が、早朝という放送時間設定も含め、「真摯に受け止めている」姿勢といえるのだろうか。

◆政治に係わるテーマはとくに告知する努力を

今回、BPOへの野中広務氏の申立てが「放送人権委員会」になされたことに対する疑問は、委員会決定レポートのなかでも、少数意見として採り上げられていた。しかし今回の裁定は、我々一般視聴者及び国民にとって、下記の意味で、非常に有意義なものであったといえるだろう。

(1)「報道番組の全体的な構成、これに登場した者の発言内容や、画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報はもとより、映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに、放送全体から受ける印象等を総合的に考慮」(BPO 委員会決定P14)されたこと。
(2)また(1)にそって、逐一、詳細に事実関係の確認が行われたこと。
(3)その結果として「勧告」という結果が出たこと。

ただし、BPOの役割は「番組を監視して罰するところではない」ものの、BPO裁定がどのように番組向上に反映されていくのかは、放送事業者が自主的に問題解決することに委ねられており、光市母子殺害事件に関する放送(BPO放送倫理委員会決定第04号)など、これまでの経緯を見ると、結果として、機能が十全に果たされているとはいえないのではないだろうか。
放送業界人にあっては性善説に基づいたルールでは、言論や表現の自由ばかりがひとり歩きしてしまい、存在意義や目的を達成できないに違いない。

とくに政治報道に関しては、国民の投票行動、そして国の未来を左右するという重大な意味をもっているはずだ。
委員会決定など政治や政治家が関係する案件については、当該番組中やゴールデンタイムのニュースなどで、一定内容を告知するという進言さえもできないのだろうか。あるいはBPO自身が番組をもち、YouTubeで流すなど、いくらでも方策はあるのではないだろうか。
せめて委員会決定など、BPO裁定後、当の放送局や番組が、その件にどのように対応し、また実行したかという「後追い調査」は、「放送倫理の高揚に寄与」することを担うBPOの責任の範疇ではないか。

報ステ及び古舘伊知郎が、委員会決定後、その言葉通り「真摯に受け止めまして、放送倫理、そして人権に十分に配慮して精進して」(古舘発言:報道ステーション2009.3.30)いるか、ぜひウオッチしてもらいたい。なぜなら我々の調査や実感では、実行に移されたことすらないからだ。

結局、放送倫理や番組向上は、我々国民一人ひとりが声をあげることに委ねられており、国民の知る権利に資するという意味では、BPO及び放送局、番組にあっては、いっそうの告知や広報、情報公開を求めたいと考える。

【参考資料】
*1 報道ステーション 過去のニュース(3月30日)
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/bangumi/hst/news/detail.php?news_id=6249

* テレビ朝日広報番組「はい! テレビ朝日です」
http://www.tv-asahi.co.jp/hai/

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★ またまた古舘(1) BPO 報ステに重大な倫理違反勧告

お花見気分で浮かれようとしていたら、BPO(放送倫理・番組向上機構)が報道ステーションに重大な倫理違反勧告を行ったというニュースが飛び込んできた。

◆「見解」より重い「勧告」は4年ぶり

具体的には、7月23日の報道ステーション(テレビ朝日系列)で、「徳島・土地改良区横領事件報道(60歳の女性職員が6億円を横領した事件)」に際し、事件とは直接の関係はない全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会長・野中弘務氏の映像を挿入し、またこれを受けて、キャスター古舘伊知郎氏が土地改良区の事業に対する補助金に対し「じゃぶじゃぶ使われているきらいがある」等とコメント。
野中弘務氏は「作為的編集がなされた」として、放送5日後にテレビ朝日に抗議したが、決着が得られなかったため、10月17日、BPO「放送と人権等権利に関する委員会」に名誉・信用の侵害を申立てたものだ。
BPO「放送と人権等権利に関する委員会(通称:放送人権委員会)」ではこれを審議し、3月30日、「見解」より重い「勧告」を4年ぶりに認定したわけだ。

◆A4/30ページの委員会レポートには真実がある

BPOの委員会では、申立て内容を詳細に検討した「決定」(*1)を約30Pのレポートにまとめ公表している。
具体的には、名誉毀損など「申立人に対する人身攻撃に及ぶものではない」と前置きしながらも、「被申立人(つまりテレビ朝日と報道ステーション)の本件放送当時の裏付け取材の範囲を超え、断定的に、一般の視聴者にすべての補助金が適正に使用されていないのではないかという認識を与えかねない不適切な表現と言わざるをえない」等、放送倫理違反があったと認定している。
レポートのなかで印象的だったのは、最高裁判決の引用を明示していたこと。
放送メディアの特徴を言い得ているので、長くなってしまうが引用してみよう。

      *     *      *     *

テレビジョン放送をされる報道番組においては、新聞記事等と異なり、視聴者は、音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり、録画等の特別の方法を講じない限り、提供された情報の意味内容を十分に検討したり、再確認したりすることができないものであることからすると、<u>当該報道番組により摘示された事実がどのようなものであるかという点については、当該報道番組の全体的な構成、これに登場した者の発言の内容や、画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより、映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して、(放送全体から受ける印象等は=筆者注)判断すべきとされるのである。(最高裁平成15年10月16日判決民集57巻9号1075頁)

出典:『権利侵害申立てに関する委員会決定「徳島・土地改良区横領事件報道」P9(BPO/2009年3月30日)


◆放送倫理違反は法律違反?

ちなみに、「放送倫理(違反)」は、放送倫理基本綱領など(*2)独自のルールに基づいたもので、いわゆる法制度ではない。
また、BPO裁定は、「放送事業者とっては、いわば最高裁判決のようなもの」といわれるものの、罰則や懲罰規定も見あたらず、強制&矯正力については、いささか疑問があると考えざるをえない。いわば、放送倫理を遵守し、裁定に従うかどうかは、マスコミ各社、またマスコミ人各自など(性善説に基づいた)現場の判断に委ねられざるをえないのではないか。
ということは……?

もちろん、言論と表現の自由を担保することは不可侵。
しかし、第三者の立場を貫いているとはいえ、NHKと民放連、民放各社によって出資・組織されたBPOの、せっかくのルールや裁定が、我々視聴者のため、いかに日々の放送・報道に反映されていくかが、本来の課題だろう。

◆ ぜったいに謝らないもうひとりの「いちろう」

我々からみれば、同じ報ステの、同じようなイメージ誘導画像・映像挿入手法を使ったことに関する申立て「かりゆし映像挿入疑惑」(*3)に関しては、我々の調査と比しても事実検証にさえ欠け、また業界団体の身内かばい的な、つまり、自浄力のなさを露呈したかのような裁定であったと明言できる。

ちなみに3月30日の報道ステーションでは、このBPO裁定に関し、10時22分ころ、約1分半だけのコーナーを設けた。詳しくは次回検証。


【出典・参考資料など】
*1)BPO 放送人権委員会 委員会決定(第39号pdfをダウンロード)
http://www.bpo.gr.jp/brc/decision/031-040/index.html
*2)BPO規約
http://www.bpo.gr.jp/bpo/overview/bpo.html
 放送倫理基本綱領
http://www.bpo.gr.jp/bpo/overview/general.html
*3)報ステとBPO:カテゴリーの「放送倫理・BPO」などを参照してください。
http://mediawatch.cocolog-nifty.com/blog/bpo/index.html

*その他参考記事
○時事ドットコム (2009/03/30-18:43)
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a3%c2%a3%d0%a3%cf&k=200903/2009033000797
○東京新聞/2009年3月31日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009033102000045.html

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☆あらためて小沢・陸山会・政治資金規正法


*その他の関連ブログ記事もご覧ください。

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♭無手勝流「インタビュー世論調査」を敢行

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♪大マスコミの世論調査と麻生「あげ足とり報道姿勢」

めまぐるしく変わる国際金融情勢および社会情勢、政治状況のなかで、メディアウォッチや分析がおいつかないまま、時間ばかりが過ぎてゆく。
この3ヶ月間の「報道とメディアを考える会」メンバーの関心事といえば、筑紫哲也氏が遺した言葉「ジャーナリストの役割は権力を監視する番犬」だったり、元厚生事務次官刺殺事件の一面的な報道のされ方(故人の「わたり」と受け取った退職金については触れられることがない)のほか、年末年始のニュースを独占した日比谷公園の「年越し派遣村」の似通った報道内容など。
先日は、『週刊新潮』(2009年2月5日号)に87年の朝日新聞阪神支局襲撃事件(02年に公訴時効)実行犯と名乗る男の手記が掲載されたが、これについてはテレビではほとんど取り上げられなかったように思う。当の朝日新聞では1月29日付の夕刊で、手記は事実と食い違う旨の524文字の記事があっただけ。ジャーナリズムの根幹をゆるがした大事件、「事実と食い違う」ということを喧伝しないのは少々不自然ではないか、等と考えているうちに、次の関心事が浮上し、かたちにならないまま、時間が過ぎてしまったというわけだ(事件と朝日新聞のいう事実関係の食い違いについては『週刊文春』2月12日号に詳しい)。
もちろん「定額給付金」論議をはじめとする麻生内閣の施策や予算委員会でのやりとり、急落した麻生内閣支持率をはじめとする世論(調査)の動向……等々は、重大な関心事であることはいうまでもない。2月9日の朝日新聞一面にも、極太文字で「内閣支持率最低の14%」という文字が躍った。

◆ 6万4000人が「麻生内閣に対する報道姿勢にノー」

昨年末、ニコニコ動画「ニコ割アンケート」(2008/12/16 :株式会社ニワンゴ)で、興味深い世論調査結果が出ていることを知った。麻生内閣支持率や政党支持率に並ぶ設問で、「麻生内閣に対する報道姿勢にノー、79.2%」という結果が出たのだ。
具体的には、「麻生内閣に対する報道各社の姿勢について、どういう印象をもっていますか?」という問いに対し、「国民にとって重要なことを報道してくれている」(5.6%)、「特に問題はないと思う」(15.2%)を大きく引き離し、「あげ足取り的な報道が多すぎる」と回答した人が、約8割にのぼった。
国民のメディアリテラシー力向上をねがう我々にとって、興味深いニュースであったことはいうまでもない。

JNN(TBS系)やANN(テレビ朝日系)、FNN(フジテレビ系)など、大マスコミの世論調査は、TVのニュースやワイドショーのほか予算委員会の質疑などでも、例えば「国民の8割が反対している定額給付金」といった具合に、繰り返し採り上げられている。しかし、ニコ割の調査結果がそういったオモテ舞台に出てくることはないし、メディア接触の主体がテレビである人が知ることはないだろう。まして、大マスコミの報道姿勢に対する(都合の悪い)結果なら、なおさらだ。
ちなみに12月時点でのニコ割の麻生内閣支持率は、32.8%(直近の1月28日調査で30.2%)。冒頭の朝日新聞社の世論調査結果(14%)と見比べてほしい。割合では、およそ倍数なのだ。ニワンゴでは、「新聞やテレビなどの調査結果に比べて、ネットでの支持率が高い」(ニワンゴ 2008年12月17日プレスリリースより)と説明しており、調査対象者年齢の違いなどは容易に想像できるとしても、この大きな差異は、どうも不可解だ。

◆調査方法・概要を確認する習慣をもとう

我々一般市民は、世論調査結果いえば、あたかもそれが唯一無比の正しい数字であるかのごとく、鵜呑みにしてしまいがちだ。しかし、内閣支持率に、媒体社により差が出ているのは何故か。また、「定額給付金制度に反対が8割」といった場合のもとの調査では、どういった文言の設問や回答項目であるのか、調査対象のサンプル数、調査方法等、調査概要を確認する習慣をもちたい、多くの人たちにもってほしい、と思う。
例えば、定額給付金に関して、賛成・反対の割合で論じられがちだが、実際の調査では、(定額給付金制度について)「評価する・評価しない」(FNN)であるなど、いわゆる「反対」とは、微妙にニュアンスが異なっている場合がある。
しかも、JNNの調査では「給付金制度に対するあなたの考え方に最も近いモノを」選択する方式で、「非常に評価できる」「ある程度評価できる」「あまり評価できない」「まったく評価できない」の4段階のなかからしか、選択できない。
回答者の立場に立てば、「どちらでもない」(評価ゼロ)をまんなかに加えた5段階であるほうが答えやすく、リアルな結果がでるのではないかと素人考えで思うのだが、この中間層を、敢えて振り分けさせたいという回答設定の意図が読み取れるのだ。

◆RDD方式では高齢者や主婦の回答者が多くなる

近年の調査法の特徴に、コンピュータ活用がある。例えばいまや世論調査の主流になっている「RDD(電話)方式」。RDDは、Random Digit Dialingの頭文字で、コンピュータの乱数計算を元に電話番号を発生させて架電、応答した相手に、コンピュータの音声で質問しプッシュホンで回答する方法だ。電話帳に非掲載の世帯も対象にできるなど、一見、恣意や作為が入り込めず、公正・公平な調査に思える。
しかし、冷静に考えてみればわかるように、そもそも「固定電話」はどういう人がとるのか……が調査結果を左右する。RDD方式の回答者は一般に下記のような傾向があるといわれている。
  ・高齢者>若者
  ・女性>男性
  ・無職(専業主婦・年金生活者)>有職者
  ・一戸建て>マンション
  ・町村>大都市
つまり、高齢者・女性・無職・一戸建て・町村の方に偏った意見を収集してしまう。また単身者世帯が急増するなか、携帯電話やIP回線だけで、固定電話そのものをもたない層も出現しているが、こういった層の意見は、まったく反映されないことになる。
このほか、RDD方式では、調査主体に好意的であるかどうかで、回答率や回答内容が左右される傾向にあるそうだ。例えば、朝日新聞社の世論調査には回答拒否しても、NHK調査には応じる……といった人たちがいることは容易に想像できるだろう。我々「報道とメディアを考える会」メンバー間では、全員が職業をもち、多忙であるせいか、自宅で世論調査の電話を受けたとしても、朝日新聞社もNHKにも、「回答する」者は皆無だったことを申し添えよう。実際、あなたなら、どうするだろうか。

◆朝日新聞社の40倍の母数をもつニコ割世論調査

ところで、こういったRDD方式のデメリット等についても、統計学的には、調査対象全体の母数(サンプル数)が大きければ、大きいほど、より正確な世論を反映すると考えられる。しかし、各社の母数(有効回答数)をみてみると、下記のとおりで、(あんなに大々的に喧伝するのに)意外と少ない、と感じてしまった。「ニコ割」(08年12月16日実施)では8万616人と、朝日新聞のサンプル数の約40倍だったからだ。

・ 朝日新聞社世論調査(2月7・8日実施)………………………2036
・ JNN世論調査(2月7・8日実施)……………………………1200
・ 報道ステーションANN世論調査(1月11・12日実施)……1000

インターネット調査は、もちろんPCおよびインターネットユーザーでなければ回答できない、サイト自体の特徴や特殊性による嗜好など、回答者プロフィールによるバイアスがあることは理解できる。しかし、8万人超の意見を吸い上げていることは事実なのだ。大マスコミはこの意見にも耳を傾けるべきだ。

ここで、ニコ割アンケートの調査方法を紹介しよう。
ニコニコ動画で、動画を視聴中の全ユーザーを対象に行われるもので、アンケート開始時に動画再生部分で一斉に実施されるもの。アンケートの開始時や日程は不定期でしかも告知していないため、多くのユーザーの意見が反映される仕組みになっている。もちろん、インターネットを使う、動画を見ている、ニコニコ動画のユーザーが対象でしかないから、若年層が多く、世論一般とはいえないし、実施主体もその点は、よく理解したうえのデータであることを強調している。

ニワンゴではこの独自の調査方式について、「ネット世論調査は、不特定多数のユーザーが、同時刻にアンケートに参加するという調査形態であるため、これまでのネットを活用したアンケートと異なり、組織的な投票が非常に困難になっています。また、また従来ネットでは、声の大きな少数派の意見がクローズアップされる傾向にありましたが、(中略)リアルなネット全体の意見調査が可能です」(2008年12月17日 プレスリリースより)と説明している。

いずれにしろ、世論調査結果は、そのまま一人歩きする数字を鵜呑みにするべきではないということだ。とくにTV画面のショルダーに出てきたときには要注意。いまはホームページなどで確認できるので、ネタもとにあたり、複数の調査を読み比べ、また国会やTV番組などで、どう使われてゆくかを一人ひとりが自覚的にウォッチして読み解くことが必要だろう。

少なくとも、麻生バッシングの報道姿勢に対し、ニコ割回答者の約8割、つまり約6万4000人が、「あげ足とり」的な報道姿勢を問題視したのは事実だ。
世論調査のあり方や数字に対しても、国民は、いずれはいまと違った考えをもつようになるのではないだろうか。
地上波TVの視聴率も低迷し、新聞購読者数も激減するなか、大マスコミは国民(=情報の受け手)のジャーナリズムに対する期待を忘れて、「裸の王様」のまま歩み続けてしまうのだろうか。


[参考サイト]
★最新版! ネット世論調査「内閣支持率調査 2009/01/28」ニコニコ動画
(登録が必要)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5973257

◆ ニコニコ動画 ニコ割アンケート結果(2008.12.17)
(動画版)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5566789
(テキスト版:調査の結果詳細)
http://www.nicovideo.jp/static/enquete/o/20081216.html

◆(株)ニワンゴ プレスリリース(2008.12.17のpdf)
http://info.niwango.jp/press/2008.html

◆JNN世論調査(TBS系)
http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/shijiritsu/

◆報道ステーション・ANN世論調査(テレビ朝日系)
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/contents/PublicOpinion/cur/index.html

◆朝日新聞 世論調査 質問と回答(2009.2.9)
http://www.asahi.com/politics/update/0209/TKY200902090263_01.html

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★岡田克也・野田国義の選挙戦略〜政権交代のおもちゃにされる橋〜

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★ 「限界集落」は斬り捨て御免〜民主・岡田副代表とおぼろ大橋

 民主党参議院議員大久保勉氏のブログから、民主党が、時期衆議院選挙に向け自民党古賀誠選対委員長の選挙区(福岡7区)に放った刺客「野田国義(くによし)」前八女市長が、10月16日(木)、岡田克也民主党副代表を道路特定財源問題のターゲットとなった「朧(おぼろ)大橋」(八女市上陽町)へ案内したことを知った。
 新聞記事などを検索してみると、西日本新聞が当日夕刊と翌日朝刊で報道。また、20日には、岡田克也民主党副代表が、自身のブログやビデオメッセージでこの福岡・おぼろ大橋視察について「非常に面白い体験をした」と前置きしながら、「無駄な公共工事の典型」と断言している。
 また道路特定財源という争点のほか、野田八女前市長と古賀選対委員長とのたたかいにおいて「全国でも注目される選挙区」と位置づけられ、民主党にとっては「福岡7区」が決戦場であり、おぼろ大橋はあらためて、そのシンボルに位置づけられたことが判った。

◆うその上塗り──増幅される「誠橋」

 我々「報道とメディアを考える会」では、今年1月菅直人代表代行がおぼろ大橋を視察し、おぼろ大橋を古賀誠氏の名前になぞらえた「誠橋」と呼んで、公共事業の無駄遣いの標的にしたことに対し疑問を抱き、2月に現地取材を決行した。
 その結果──
1) 地元(八女市や上陽町)では「誠橋」と呼ばれている事実はないこと。
(おそらく2002年の週刊現代の記事で、写真タイトルに「愛と誠橋」とつけられたことが発祥)。
2) 菅直人氏が「行き止まり」と攻撃した道路は、実際には、狭隘の旧道ながら、久留米市までつながっていること。
3) おぼろ大橋は、福岡県内のみならず、もともと九州全域を含めた、広域の地域交流の要として建設されたものであり、現在1日200台程度の通行量にとどまっているのは、30万都市である久留米市側など、山道(旧道)の整備計画が頓挫していることが主要因であること。
4) 医療格差・雇用格差・教育機会格差などの「格差」解消のほか、高齢化や過疎、農産物の流通、観光など、交流人口の拡大を通して、限界集落の問題解決を目的に計画されたこと。
などを確認している。
 このほか、菅直人一行は「町外の人を連れてきて、サクラのかんじで」という言説も得ている。
*取材の経緯や詳細については「おぼろ大橋レポート」のカテゴリのブログを参照。背景などに言及したpdf版レポート(A4/10頁)も、ダウンロードできるのでぜひご一読を。

◆岡田氏への国民の期待を裏切る言説

 岡田克也氏がおぼろ大橋を「別名、誠橋」とあたかも自明であるかのように主張することに、まず異論を唱えたい。それは地元ではなく、民主党が「行き止まり」など虚偽を喧伝しながら、創出した視察の呼び名ではないかと。
 報道とメディアを考える会のメンバーのなかには、誠実・実直を旨とする岡田克也副代表に期待する声も少なくない。例えば、氏の寄稿記事「小沢さんと私は違う──政権奪取宣言」(『文藝春秋』2008年9月号)では、政権奪取のためには手段を選ばない現民主党執行部への「違和感」が綴られており、「本格的な政策論争で挑んでゆく」という岡田氏の姿勢は、思想信条・支持政党に関わらず、極めて正当に評価されるべきものだろう。
 しかし、おぼろ大橋視察では、地域の事情に耳を傾ける前に「無駄な公共工事の典型」と斬り捨てる岡田氏に対して、「ブルータス、おまえもか」と。
 民主党の選挙向けCM「声を、チカラに(課題)」篇では、「私たちが取り組む課題は あなたの地元の商店街やあぜ道や小さな漁港にあるのです。私たちは対話しています…」と連呼されているのだが。
 救急搬送路や通勤・通学路の確保によって、中山間僻地・限界集落の格差問題を解消し、またこの地域の農産物を、隣接する30万都市などへ届けることで地産地消や食糧自給率向上につなげたいという「地域の願い」は、都市生活者を票田にする民主党の、しかも地域の商店を逼迫させている大手流通イオングループを親族にもつ岡田氏には、邪魔になるばかりということだろうか。
(誠実な)岡田氏ならば政権を任せてもよいのでは……という保守層が確実に存在するだけに、強面や目力に欠ける執行部連よりも、いっそう「罪つくり」ではないか。
 ちなみに民主党から福岡7区で立候補を表明している野田国義前八女市長は、今年7月の八女市議会で、合併や過疎問題に対する討議のなかで、次のように答弁している。
「今、上陽町のほうの過疎地につきましては、例えば尾久保小学校を中心としてどうできるかと。交流人口なんか、子どもたちとか宿泊させたらどうかとか、あるいはグラウンドワークが、朧橋のところでいろいろ活動されておりますけれども、そういうものでいろいろなソフトを、国とかの支援をいただきながら、どうしたらいいのかということで今構築をしておるところでございますので、またよろしくお願いをしたいと思っております。」(八女市議会ホームページ・平成20年第4回八女市議会(7月臨時会)会議録)
 なんとも矛盾した話ではないか。

◆ 「マンガ」と誹謗された決戦場の老人

 今回の民主党副代表岡田克也と刺客野田国義氏の視察報道及び岡田氏のブログなどで、結果として標的にまつりあげられのが、おぼろ大橋建設当時の旧上陽町長、牛嶋剛さんだ。西日本新聞の記事「“誠橋”舞台に自、民攻防」(10月17日付朝刊)によれば、下記のような模様だったとのことで、土下座写真も掲載された。

      *      *      *

岡田氏の視察を知って駆け付けた、古賀誠後援会上陽支部会長の牛嶋剛・旧上陽町長が「道路がなければ町から若者がいなくなる。必要だ」と詰め寄った。だが、岡田氏は「マンガのようだ。税金の無駄遣いの象徴」と橋を批判。牛嶋氏は、橋につながる道路が出来れば通行量も増えるとして「古賀誠と一緒になって(道路を)造ってくださいと叫び、いきなり土下座してみせた。
(西日本新聞10月17日付朝刊「“誠橋”舞台に自、民攻防」より)

      *      *      *

 また、岡田氏のブログなどでも「それで便利になる方もいらっしゃるのかもしれませんが、口的には決してそう多いわけではありません。土下座は1つのパフォーマンスだったと思いますが……」と、クローズアップしている。
 確かに、牛嶋町長の土下座は、「前時代的(陳情)」を想起させてしまう訴求法だが、だからといって、地域の実情(=声)を伝えようと真剣に懇願する人物に対し、いくら人口が少ないからといって、またいくら支持する政治家が異なるからといって、「マンガ」と誹謗する権利はないだろう。
 民主党CMでは地方の声に耳を傾ける「きれい事」の姿勢を謳いながら、「人口的にもそう多いわけではない」と自らの価値基準が人口数(=納税者数・有権者数)にあることを表明しており、所詮、過疎地域の住民の「いのちの重さ」に思い至ることはない。
 岡田氏、そして民主党の政治姿勢をよく表しており、「国政」を任せられるかどうかの重要な指標だろう。

 岡田氏ブログでは、牛嶋前町長が「高速道路までの道を」と訴求したと書かれているが、我々は、これにも懐疑的だ。我々が聞いていたこと(安心してすれ違いができる幅員の道路の確保や、筑後エリア内の周回)と異なるし、20〜50年後といった未来構想である可能性も大きい。前後関係や脈絡を排除し、「そこだけ」「切り取って」、公共工事・無駄・道路族・古賀誠・自民党を攻撃する「演出材料」に利用された可能性もある。
 牛嶋前町長は、それだけ魅力的なキャラクターであるわけだが、誠にお気の毒というほかなく、今回の件でまた血圧があがってしまうのではないかと(高度医療施設への救急搬送路も確保できていないし)、それが心配だ。
 ちなみに、視察に同行した大久保勉氏の当日のブログでは、「久留米市高良大社を越え、山の稜線を通る山道を20分ほど車で走った後、前方に全長300メートルほどの巨大なアーチ上の橋が見えてきました」とあるから、岡田氏一行は、おぼろ大橋から久留米へ辿った県道750号線(耳納スカイライン)を通って、現地入りしたことは間違いないだろう。
 つまり、菅直人代表代行が「行き止まり」と虚偽の喧伝をした道路が、久留米へつながっていることを、身をもって体験・検証しているはずなのだ。

◆ 等身大の限界集落・格差問題

 ところで、菅直人民主党代表代行が朧大橋を視察した直後の1月27日、経営コンサルタントで、2002年には福岡6区補欠選挙で出馬・落選した延嘉隆氏は、地元福岡としての見解を、自身のブログで次のように記している。
 
     *     *     *

 個人的な見解を申し上げれば、“朧大橋”の問題が、『揮発油(ガソリン)税の暫定税率廃止と道路特定財源の一般財源化』議論の言わば解り易い“象徴”として、単に“政争の具”として、今国会で取り上げられることには複雑な思いがあります。
(中略)
確かに、“税金の使われ方”という手法論において、道路特定財源議論と帰結されることは妥当な一面があります。さりながら、より本質的な問題は、単に、“ムダな公共事業”という括りでこの問題を総括することではなく、「公共事業の意思決定プロセスにおいて住民の意思が介在していない」という“予算配分のメカニズム”そのものにあり、そのことが即ち、「国民意識の国家への依存」、さらには、「あらゆる行政課題への無関心」につながっている点にあるのではないかと考えています。
(延☆よしたか「ストリートスマート宣言」 「“朧大橋”(おぼろおおはし)の先にあるもの」より)

     *     *     *

 現地取材を行い、牛嶋剛旧上陽町長ら住民に面談し、限界集落の現状を見てきた我々も、同様の感想をもつ。つまり、問題は、朧大橋や旧上陽町長を政争の具のシンボルにまつりあげることの是非だ。しかも菅直人視察による「誠橋」の呼称や地元(ということになっている人)の反応は、ヤラセの可能性も否定できていない。

 2月に牛嶋元町長のご自宅に訪ねた際、縁側の長押(なげし)には学生服がかかっていた。おそらくお孫さんの進学問題を直近に控えていることだろう。またくねくねした山道を1時間半も辿らなければ、久留米の救急病院に辿り着けない限界集落の高齢者医療問題は、高齢の元町長自身の「きょうの問題」でもある。
 そういった等身大の問題に耳を傾けずに、格差問題を抱えた限界村の住民(生活弱者)を「わかりやすい標的」するのは、政治家として、いや、人間として、いかがなものか。田舎の一老人を犠牲に、都市生活者という大票田をターゲットに喧伝する民主党に、日本の舵取りを任せてゆけるのだろうか。
 しかも、都市生活者のほとんどは、実は、田舎にルーツがある。
 もちろん食糧自給は農山村に頼らざるをえない。
 問題の根の深さに、あらためて、思い至るのである。

*「続きを読む」に2月に行った牛嶋前町長へのインタビュー映像を再掲載。

[資料]
☆西日本新聞資料
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/election/2008syuin/fukuoka/20081017/20081017_0002.shtml

☆岡田克也公式ブログ「TALK-ABOUT 直球、健在。」
http://katsuya.weblogs.jp/blog/2008/10/post-8ed6.html
☆岡田克也「週刊ビデオメッセージ」
http://www.katsuya.net/message/2008/10/20.html

☆延☆よしたか「ストリートスマート宣言」
“朧大橋”(おぼろおおはし)の先にあるもの
http://www.nobuyoshitaka.com/archives/51209985.html

☆参議院議員大久保勉 公式ウエブサイト「朧大橋視察」(2008年10月16日)
http://blog.goo.ne.jp/tsutomu-okubo/e/946b29f1a0b4d148580a54b5281ee47b

☆ 八女市議会ホームページ
http://www.city.yame.fukuoka.jp/gikai/gikai_top.html

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★ “参院第一党の責任”への通信簿〜「日本経団連 08年政策評価」

 去る9月17日、(社)日本経済団体連合会(以下=日本経団連)が、解散・総選挙をにらみ、例年の発表を前倒しして「2008年政策評価」を発表した。翌18日の朝刊には下記のような見出しで紹介された。
  「経団連政策評価:自民、10項目で『A』 民主に採点辛く」
    (毎日新聞社 東京朝刊 8頁 経済面 全428字)
  「政策評価は自民アップ、民主ダウン 経団連」
    (朝日新聞東京朝刊6頁)
  「民主政策評価 経済界厳しく 政局重視の戦略を批判」
    (産経新聞 大阪朝刊 10頁 第2経済面)
 日本経団連といえば、東証第一部上場企業を中心に構成される経済3団体の一つ。「経済・産業・社会労働分野について、経済界の意見をとりまとめ、政治・行政に実現を働きかけるなどの活動」(デジタル大辞林)を行い、政界・財界に大きな影響力をもつ組織といわれ、その会長(キヤノン会長御手洗冨士夫氏)は、TVの政治関連のニュースでも、しばしば登場して政策提言や談話などを発表している。
 が、年に1度発表される政策評価については、新聞でも経済面などで扱われるにとどまり、民放のTVニュースなどでは取り上げらなかった。
 なぜか──。財界が考える政策評価は国民には無縁と考えるのか、世間で拮抗する政党支持率と異なる結果を報道することは、意味がないと考えるのか。
 我々報道とメディアを考える会では、評価の視点軸をふまえた上で、こういった政策ごとに対する評価は他に見あたらず、またエンターテイメント化するTVニュースの内容に比して、次の投票行動のための判断材料の一つになると考えるのだが、どうだろうか。

◆日本経団連「政策評価」とは何か

 日本経団連の政策評価とは、「政策本位の政治の実現、議会制民主主義の健全な発展、政治資金の透明性向上の観点から、企業の社会的責任の一端としての重要な社会貢献として、企業・団体による政党の政治資金団体への寄付を促進」する立場から、政党(自民党・民主党)を対象に、「総評」「優先政策事項に照らした評価」「包括的事項の論評」の3部構成で評価するもの。日本経団連では、会員企業に対し、この政策評価を参考に「自主的に政治寄付を実施することを申し合わせている」ものだ(「 」内は、日本経団連HP 「2008年政策評価の発表にあたって」より)。
 「優先政策事項」として、「税・財政改革」「社会保障・少子化対策」「地球温暖化対策」「教育改革」「外交・安全保障」など10項目が挙げられ、それぞれ(日本経団連政策との)「合致度」、「取組み」、自民党については「実績」がA〜Eの5段階で「推進・逆行」を評価するもの。また特記事項として、評価の理由が個々に記載されている。
 2008年度の評価(概要)については、下記のとおり。新聞などで指摘されたように、民主党については、落第点ともいえるD評価が昨年の4項目から6項目に増えるなど評価が低下。総評では「民主党の主要政策には、財源の根拠が不透明で実現には問題があるものが多い。」「法案や国会同意人事への対応を見ても、政局を重視したという印象は否めない。」「概して、政策で切磋琢磨するというよりは党利党略優先の行動が目立ち、参院第一党の責任政党としての姿を示せなかった」などだった。
 ちなみに自由民主党については全般に高評価だったものの、「社会保障・少子化」、「雇用・労働」「教育改革」はC評価。総評でも「『ねじれ国会』の下でも、政治がタイムリーに意志決定できる仕組みの構築が大きな課題」と指摘されている。

        *        *        *

■日本経団連 2008年政策評価

            <自民党>      <民主党>

         合致度 取組 実績  合致度 取組 実績

 税・財政改革    A  B  B   C  D↓  −
 社会保障・少子化  B  B  C   C↓ C   −
 規制改革      B  B  B   B  C   −
 イノベーション推進 A  A  B   B  B   −
 エネルギー・環境  A  A↑ B   C  D   −
 教育改革      A  B  C↓  B  B   −
 雇用・労働     C↓ C  C   D  D   −
 道州制       A  A  B   C  C   −
 通商政策      A  B  B   C  D↓  −
 外交・安全保障   A  B  B   C  D   −
       (日本経団連HP「2008年政策評価」より作成)


◆ 民主岡田氏の政策評価批判

 日本経団連の政策評価と企業献金との関係について、民主党衆議院議員岡田克也氏は、昨年の発表時に、自身のブログ「直球、健在。」のなかで、政党通信簿といわれる政策評価について言及している。

       *     *     *

「まず、この仕組みそのものですけれども、基本的にかなり危ういものだということは言わなければいけないと思います。
 つまり、経団連の政策を示して、それについての合致度、政党の政策がどうなのかAからDまで評価をする。その評価を今回のように公表して、そして会員の企業に『自主的に』ということは言いつつも献金を奨励する。
 これは一歩間違えると贈収賄の関係になりかねない、そういうかなり際どい問題です。
私は、経団連という1つの経済界の団体が、そういう形で各企業の政党に対する献金について、いわば介入をするというやり方が、決して良いとは思わないということをまず申し上げておきたいと思います。」
(岡田かつや公式ブログ「直球、健在。」2007年11月13日より)

       *     *     *

 多少乱暴な論法であるものの岡田氏の指摘には一理あり、また日本経団連という大企業の「視点」であること、また「自主的」に判断するための材料であることは、もとより経団連自身が謳っていることである。また岡田氏の指摘はともかく、民主党に献金している経団連会員企業があることも事実だ。

 さて、我々有権者はこの日本経団連「政策評価」をどう読むか。
 きょう(10月7日)、麻生太郎首相が衆院予算委員会で総選挙の争点として挙げた国際貢献(外交・安全保障)の取り組みでは、自民党はB。民主党はDで、日米同盟を外交・安全保障政策の基軸と位置づけながら、08年通常国会で在日米軍への「思いやり予算」に反対、参院で不承認としたこと。また国際社会と一致団結してテロ根絶に取り組むとしながら、07年臨時国会で新テロ特措法を参院で否決したことなど、政策と取り組みの矛盾が指摘されている。

 政策自体への賛否はそれぞれの考えだが、言行一致かどうかをも含め、大マスコミがあまり取り上げないなか、自分なりの視点で経団連の政策評価の細目について個々に確認し、政権政党を選ぶ時期選挙のための「判断材料のひとつ」として、「自主的」に深読みしようではないか。
 そこらの政治バラエティ番組よりも詳細で具体的であることは保証する。


★ 経団連 政策評価2008年
(ページの下の方に、自民党・民主党の評価pdfがありダウンロードできる)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/065.html

★民主党衆議院議員 岡田かつや公式ブログ「直球、健在。」
http://katsuya.weblogs.jp/blog/2007/11/post_d9a7.html

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«選挙前に野党へ政権禅譲? 朝日新聞★さんの見識