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2008年7月

☆小沢「隠し資産疑惑」裁判。判決文を見た。

6月4日、民主党小沢一郎代表が、『週刊現代』(講談社)に敗訴した、東京高裁(つまり2審)の判決文を見る機会を得た。
控訴人や非控訴人、弁護人の名がずらりと並ぶ1ページに続く、2ページの「主文」を見て、苦笑してしまった。
曰く「本件控訴をいずれも棄却する」
曰く「控訴費用は控訴人らの負担とする」
という2行。控訴した小澤一郎(通称:小沢一郎)氏らの「全面敗訴」であることが、あまりにも明確に、短文で提示されていたからだ。
立場を変えて小澤一郎氏側の立場に立って考えて見れば、勝てないまでも落としどころがあると読んで始めた裁判なのに、「けんもほろろ」な判決だったことが想像できる。

■控訴内容は小澤氏と民主党合計で6000万円と金利

控訴内容は、
1) 小澤氏(個人)に対し、3000万円と、当該記事の雑誌発行日(2006年5月23日)から支払い済みまで年5分の利息を支払え。
2) 民主党に対し、3000万円と、当該記事の雑誌発行日(2006年5月23日)から支払い済みまで年5分の利息を支払え。
3) 控訴人が用意し、条件を示した謝罪広告を、週刊現代のほか、朝日、読売、毎日の各新聞に掲載せよ。

……というもの。
つまり、名誉毀損により、小澤氏個人(3000万円+利息)、民主党(3000万円+利息)と謝罪広告を求めていたものが、東京高裁へ上訴までしたのに、あっさり棄却されたわけだ。

■ 事実をもとにした意見は名誉毀損ではない

判決文のうち、「事実及び理由」では、週刊現代の記事や広告等の内容を子細にわたり点検・検討するもので、記事等から、知っていることがほとんどだった。
ただ、注目したのは「事案の概要」の2「記事による名誉毀損における違法性及び故意過失」。我々なりに「翻訳」すると以下のようになる。

● 事実であることの証明がなくても、執筆者が事実と信じるにたる理由があれば、故意や過失で名誉毀損したとはいえない。
●事実をもとに、公共の利害や、公益を目的に執筆(表現)したものであれば、故意または過失で、名誉毀損したことに当たらない。
●事実を前提とした意見や論評によって名誉毀損にあたるかどうかは、読者の判断にまかせられる性質のもの。

──というもの。
週刊現代の記事の、詳細な調査や多面的な取材を読んで、我々が感じたことと遠くない。つまり、きちんと調べ、また反対意見を含めて構成している事実に基づいた記事には、ある種のジャーナリストとしての「誠実さ」が感じられ、それを名誉毀損で訴えるのはおかど違いでは?ということだ。
尚、小沢氏側は、判決に不満であれば、判決から2週間以内に上告できたはずだが、上告は見送った。つまり判決を受け入れたということだ。


■ なぜ、首相にならんとする人物の裁判が報道されない?

それにしても、なぜ、一国の総理にならんとする人物=小沢一郎(小澤一郎)氏の裁判について、テレビや主要新聞(共同通信と産経新聞はのぞく)は報じなかったのだろう。私たちは「国民の知る権利に奉仕する」というマス・メディアの使命・役割を信じている。いや、信じたい。
調べれば調べるほどに、なぜ報道されないのかに立ち帰ってゆく。
ネットのブログ等では、さまざまな理由が挙げられている。しかしそれらの大半は、無責任な「床屋政談」であって、我々がその信憑性を確認することが難しい。

ちなみに、平成19年2月20日の事務所費の公開に当たっての記者会見で小沢一郎民主党代表は、「いずれにしろ、報道機関の皆様には、いかなる場合においても、私の意志がきちんと実現されるよう、今後、厳しく監視していただきたく宜しくお願いいたします」と締めくくった。

この「お願い」に応えているのは、週刊現代や週刊新潮などの一部の週刊誌が主だ。小沢一郎氏自身が、そう要請しているのに、なぜ、TV局や朝日や毎日、読売新聞などの報道機関は動かないのだろう。

あまりの迷宮と問題の根の深さに、疲労が募るばかりだ。

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☆小沢代表が敗訴した「記事」を入手(pdf付き)

民主党小沢一郎代表が敗訴した「隠し資産」に関する東京高裁の判決内容を知りたいと考え、裁判所の「判例検索システム」(判例データベース)に掲載されるのを心待ちにしていたが、掲載は見送られたようだ。
法律関係の仕事をしている知人に聞いてみると「すべての判決が掲載される訳ではない」そうだ。我々のように、(報道で取り上げられない)国会議員に関する裁判の内容を知りたい……という動機は、データベース公開の趣旨とは異なるということらしい。国民の税金で運営されているのだから、こういった国民の知る権利に応える裁判所であってほしい。

◆ 丹念な取材・調査に基づいた『週刊現代』記事

そこで、裁判の元となった『週刊現代』の記事「小沢一郎の“隠し資産(6億円超)”を暴く ジャーナリスト 長谷川学」(2006.6.3)を確認することにした。
5ページにわたる記事中では、表組みで「小沢一郎・蓄財の歴史」と「小沢一郎・全資産(マンション/土地・建物)」が紹介され、また地元後援会長の談話や小沢事務所の回答もあり、丹念な取材・調査に基づいて、事実をたんたんとレポートしているという印象を受けた。名誉毀損にあたらないという裁判所の判断もうなづける。
記事のコピーはpdfにして添付したので、小沢氏を支持している人、支持しない人の双方に、ぜひ目を通してほしい。

◆隠し資産問題とは名義の付け替え

問題をまったく知らない人のために、小沢氏の疑惑を簡略に解説すると(といっても長い)───
小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」が所有するとされる、都内一等地等計10戸のマンション(購入価格約6億1000万円)について、政治団体は権利能力なき社団、つまり法人格がないため、「小澤一郎」個人名義で登記している。しかし、政治資金規正法では、政治団体は資産として土地や建物を計上してよいことになっている。
そのため、この資産について、「陸山会」の収支報告書には記載されているが、小沢氏個人の議員としての「資産等報告書」には記載がない。
この方法をとると、小沢氏の死後、相続の対象である個人資産となる可能性を否定できないほか、政治団体には税法上の優遇措置があるため、「税金逃れ」や「資産隠し」ととられてもいたしかたない部分がある。また政治資金団体の資産について、国税局もタブー視しているといわれる。

つまり、法律自体が矛盾しているなかで、小沢氏は、合法ではあるが、制度の欠陥をうまく突いた資産運用=高度な財テク法を行っている可能性が大きいという訳だ。

◆問題の本質は、資産運用の是非

種々の週刊誌報道などを含めた報道記事を振り返ってみると、この「資産名義の付け替え」をもとに、さまざまな疑惑が浮かび上がっているようだ。例えば、登記上の「小澤」という旧字の表記と「小沢」の使い分けなど、どれも細かく、複雑なもので、素人には分析が難しい。

2007年2月、小沢氏は事務所費公開にあたり記者会見で「不動産は個人所有していない」と明言したことは、新聞の一面などで報道されたので、記憶に残っている人も多いのではないかと思う。
しかし問題は合法であるかどうかではなくて、献金によって成り立ち、優遇税制のもとにある国会議員の政治資金管理団体が、大量の不動産を取得して資産運用すること自体の是非だろう。
国民の理解を得られるかどうかがポイントだと考えられるが、TVなどで報道されなければ、国民が知る機会も少なく、したがって論議の機会さえも奪われしまっている。TVの報道番組、例えば我々国民の見方を自認する「報道ステーション」にもぜひ解明して欲しい課題だ。

◆ 1億円超の物件をぽんと寄付

 ところで、2007年7月、政治資金規正法が改正され(1月1日に施行)、「資金管理団体による不動産の取得等の制限」が追加された。
「第19条の2の2 資金管理団体は、土地若しくは建物の所有権又は建物の所有を目的とする地上権若しくは土地の賃借権を取得し、又は保有してはならない」(平成19.7.6法律107号)というものだ。

 また、先週発売された『週刊新潮』(「密かに『疑惑事務所の処理』を始めた小沢代表の『総理戦略』」2008.7.17)では、問題となっているマンションの一つ、「グラン・アクス麹町」の物件は、7月1日、陸山会から、テナントとして賃貸していた「ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター(会長:小沢一郎)」に寄付され、移転登記されたことを報じている。

 これまで、小沢氏(または資金管理団体)の資産は、「いざ政権を獲るときに活用しようという前提で残している」(小沢氏の資金管理団体の会計責任者平野氏談話 『週刊文春』2007.10.25)と説明されてきた。
 隠し資産疑惑について、強気の説明をしてきた小沢氏も、政権奪取を目指した衆院選を前に、国民の理解が得られるように身綺麗にしておこうということか。
 しかしそれなら、売却して民主党に寄付してもよさそうなもの、と考えるのは、いまだ政治家に夢を託そうとしている庶民の感覚か。

*pdfもあわせてお読みください。

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☆後日談:BPO=業界内の自浄力?ーー古舘vs自民党(5)

BPO(放送倫理・番組向上機構)のHP上に、報ステ・古舘の「よく笑っていますね」発言及び自民党の抗議に関する委員会の見解が出ていたので紹介する。
番組を逐一見直した我々の印象とは対局にある結論(審議の見送り)で、正直なところ、番組の録画を「(視聴者の立場で)見ていない」と感じた。

また、報ステ自体があいまいにしたことまで、ご丁寧に正当化の上塗りに一役買っている。
曰く(かりゆし映像の挿入は)
「関係がないとはいえない」
「アタマ撮りの映像を使用したことには理由がある」と。
しかし我々がとくに注目したのは、
(古舘氏の釈明によって)
「視聴者も正しく理解したと判断できる」
という文言だ。
ほんとうにあの釈明で、誰が、どのように、何を理解したといえるのだろう。

第三者性を謳いながらも、業界団体では、自浄力に期待できないということか。
いや、表現の自由を担保してゆくためには、自浄力こそが必要不可欠に違いない。
その意味で、我々「報道とメディアを考える会」では、一定の監視機関や権力による監視ではなく、BPOの活動に期待していることを申し添えよう。


<報道番組のキャスター・コメントに対する抗議>

報道番組の後期高齢者医療制度を取上げたコーナーで、自民党の幹部が談笑している映像を見たキャスターが「よく笑っていられますね」とコメントした。それに対して自民党から、その問題を議論しながら笑っていたわけではない、との抗議が局にあった事案。討議した結果、キャスターは印象を述べたものであるし、談笑している映像も放送前日に開催された役員連絡会冒頭のいわゆる「アタマ撮り」で、その役員連絡会では後期高齢者医療制度が話し合われているから、まったく関係のない映像を使用したとは言いがたい。更に、役員連絡会については会議が始まる冒頭、いわゆる「アタマ撮り」の取材しか許されていないので、直近の「アタマ撮り」の映像を使用したことにも理由があると判断できる。確かに、番組の作り方にも誤解を生まないように配慮すべき点があるが、それについては、5日後に、同番組で4分間弱にわたってキャスターにより説明がなされているので、視聴者も正しく理解したと判断できる。>以上の理由により、当委員会はこの事案を取上げないこととした。
(BPOホームページ 「第15回 放送倫理検証委員会」(2008年6月13日開催)議事録より)


追記
「報道とメディアを考える会」では、検証レポートなどを逐次BPOに送付している。今後は、委員や番組のスポンサー企業などにも個別に送付していく予定。

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♪番外「独り言」──アンタッチャブルOZAWA

◆ 小沢代表&鳩山幹事長のホンネ漫才?

1か月ちょっと前の話──。こんなニュースがあった。

「『キミの財産をよこせよ』。政権交代を旗印にして次期衆院選に向けた対策を急いでいる民主党だが、選挙資金の金策に頭を悩ます小沢一郎代表が最近、冗談めかして鳩山由紀夫幹事長に私財提供を求める一幕があった。
 鳩山氏は政界でも有数の資産家だが、すかさず「代表も(東京都港区内などに複数保有するマンションなどの)建物を売ればいいじゃないですか」と反論。小沢氏は『売ってもそんなにカネにならないよ』と弁解したという。」(後略「msn産経ニュース」2008.5.29 00:27より)

「白鳥大橋」の映像レポートのための取材の際、寂しげな東室蘭の町中に、結婚式場かホテルかと見まがうようにそびえる「はとやま会館」(鳩山由起夫事務所)を見てきた我々は、TVニュースワイドによくある人形をつかって、このやりとりを再現したい衝動に駆られた。強面の小沢代表と、インテリ風の鳩山幹事長のかけあい漫才は、爆笑問題より面白いに違いない。
ちなみに、室蘭市の「はとやま会館」(ビルの表示にあった名称)に隣接して、イオン北海道(株)の大型ショッピングセンター「ポスフール」がある。人通りも少ない憂愁のまち「室蘭」にあって、なんとも異様な光景だった。

◆「小沢の隠し資産を暴いた週刊現代が全面勝訴」むむむ……?

室蘭市の「はとやま会館」が鳩山由紀夫民主党幹事長個人の所有する不動産かどうか、「いまのところ」我々の関知するところではないが、たびたび週刊誌などを通じて噂されてきたように、小沢代表が個人名義で所有している不動産への興味はつきない。
しかも、いまごろになって、ひっそりとこんなニュースをみつけた。

「新聞・テレビはほとんど報じなかったが、政界動乱の主役である民主党の小沢一郎代表にとって大きなダメージとなる判決が6月4日に下った。いわゆる小沢氏の不動産問題を取り上げた「週刊現代」の記事で名誉を毀損されたとして、小沢氏と民主党が講談社と著者の長谷川学氏らを訴えていた。その控訴審判決で、東京高裁(柳田幸三裁判長)が「記事は真実であり名誉毀損に当たらない」として1審の東京地裁判決を支持。小沢氏側の請求は棄却され、講談社側が勝訴したのだ。」(後略/総合情報誌[ザ・ファクタ]2008年7月号)

[ザ・ファクタ]の記事本文でも触れられているように、このニュース、ほとんど報道されなかった。産経新聞の阿比留瑠比さんの実名記者ブログにも、月刊Will8月号のジャーナリスト尾形真人氏の記事の紹介とともに、「実はうかつなことに、私はこの判決について当日は全く気付かず、ようやく2週間後になって関係者に聞いて知った次第でした。」(2008/06/29)とあるから、我々市民レベルに届かなかったのは、いたしかたないということか。

@Niftyの新聞記事横断検索で確認してみたところ、判決の翌日、6月5日に報道されたのは、わずかに8件。つまり共同通信のほかは、北海道新聞・秋田魁新報・静岡新聞社・中日新聞社(東京・大阪の2件)・中国新聞社・熊本日々新聞社は、文面からみて共同通信の配信を掲載したものだけだ。また、6月21日になって、ようやく全国紙のなかで、産経新聞が取り上げている。

◆メディア自身もアンタッチャブルになれ!

それにしても、こんな重大ニュース、なぜ、報道されないのだろう。
2大政党制が射程に入った選挙を控えているいま、政権交代を目指す政党の党首が信頼に足る人物かどうか、国民の関心がないはずがないだろう。
まだ、報道の使命が「国民の知る権利」に資することにあるとすれば、当然取り上げるべきニュースであるはずだ。

しかし、報道する側の作為とマスコミ諸氏の「アンタッチャブル」がここにある。民主党、とくに小沢代表については、「触れない」「報道しない」ことで、ある種の隠蔽や、世論誘導している面があるといえるのではないか。
例えば、先の岩手・宮城内陸地震で、不幸にも工事現場の作業員が亡くなった胆沢(いさわ)ダムは、小沢一郎氏の選挙区にある。この国土交通省事業は、これまで、民主党の国土交通省事業批判や、マスメディアで取り上げられたことはほとんどないだろうと思う。
「アンタチャッブル」が、まかりとおってしまう実態が存することについて、室蘭で「白鳥大橋」(白鳥新道計画)をまのあたりにしてきた我々はよく知っている。

ちなみに、Untouchableを辞書でひくと、
1 触知できない;手を触れてはいけない.
2 (遠くて)手の届かない, 禁制の.
3 触るのもいやな, けがらわしい.
4 非難の余地のない;手にあまる, 無敵の, 無比の;((米略式))買収のきかない;疑う余地のない.
                    (プログレッシブ英和中辞典)
──とある。

アル・カポネの摘発に向かったエリオット・ネスらの「アンタッチャブル」は、毅然としたあり方が印象的だった(早川文庫 ドキュメンタリー・ノベル/映画の原作)。しかし我がマスメディア自身は、(疑う余地のない)アンタッチャブルにも、なり得ない。

なぜマスメディアにとって小沢代表の問題が「ご禁制」になっているのか、探っていく必要があるだろう。
民主党が真に政権政党足りうるか──を判断するための、つまり自分自身の投票行動のための正確な情報が欲しい。
しかし「第4の権力」という名の「象」に立ち向かう「蟻」でしかないことも、よく判っている。
さてと……

[参照資料など]
☆総合情報誌[ザ・ファクタ]
http://facta.co.jp/article/200807042.html

☆msn産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080529/stt0805290026000-n1.htm

☆はとやま事務所
http://www.hatoyama.gr.jp/indy_frame.html

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