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☆小沢代表が敗訴した「記事」を入手(pdf付き)

民主党小沢一郎代表が敗訴した「隠し資産」に関する東京高裁の判決内容を知りたいと考え、裁判所の「判例検索システム」(判例データベース)に掲載されるのを心待ちにしていたが、掲載は見送られたようだ。
法律関係の仕事をしている知人に聞いてみると「すべての判決が掲載される訳ではない」そうだ。我々のように、(報道で取り上げられない)国会議員に関する裁判の内容を知りたい……という動機は、データベース公開の趣旨とは異なるということらしい。国民の税金で運営されているのだから、こういった国民の知る権利に応える裁判所であってほしい。

◆ 丹念な取材・調査に基づいた『週刊現代』記事

そこで、裁判の元となった『週刊現代』の記事「小沢一郎の“隠し資産(6億円超)”を暴く ジャーナリスト 長谷川学」(2006.6.3)を確認することにした。
5ページにわたる記事中では、表組みで「小沢一郎・蓄財の歴史」と「小沢一郎・全資産(マンション/土地・建物)」が紹介され、また地元後援会長の談話や小沢事務所の回答もあり、丹念な取材・調査に基づいて、事実をたんたんとレポートしているという印象を受けた。名誉毀損にあたらないという裁判所の判断もうなづける。
記事のコピーはpdfにして添付したので、小沢氏を支持している人、支持しない人の双方に、ぜひ目を通してほしい。

◆隠し資産問題とは名義の付け替え

問題をまったく知らない人のために、小沢氏の疑惑を簡略に解説すると(といっても長い)───
小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」が所有するとされる、都内一等地等計10戸のマンション(購入価格約6億1000万円)について、政治団体は権利能力なき社団、つまり法人格がないため、「小澤一郎」個人名義で登記している。しかし、政治資金規正法では、政治団体は資産として土地や建物を計上してよいことになっている。
そのため、この資産について、「陸山会」の収支報告書には記載されているが、小沢氏個人の議員としての「資産等報告書」には記載がない。
この方法をとると、小沢氏の死後、相続の対象である個人資産となる可能性を否定できないほか、政治団体には税法上の優遇措置があるため、「税金逃れ」や「資産隠し」ととられてもいたしかたない部分がある。また政治資金団体の資産について、国税局もタブー視しているといわれる。

つまり、法律自体が矛盾しているなかで、小沢氏は、合法ではあるが、制度の欠陥をうまく突いた資産運用=高度な財テク法を行っている可能性が大きいという訳だ。

◆問題の本質は、資産運用の是非

種々の週刊誌報道などを含めた報道記事を振り返ってみると、この「資産名義の付け替え」をもとに、さまざまな疑惑が浮かび上がっているようだ。例えば、登記上の「小澤」という旧字の表記と「小沢」の使い分けなど、どれも細かく、複雑なもので、素人には分析が難しい。

2007年2月、小沢氏は事務所費公開にあたり記者会見で「不動産は個人所有していない」と明言したことは、新聞の一面などで報道されたので、記憶に残っている人も多いのではないかと思う。
しかし問題は合法であるかどうかではなくて、献金によって成り立ち、優遇税制のもとにある国会議員の政治資金管理団体が、大量の不動産を取得して資産運用すること自体の是非だろう。
国民の理解を得られるかどうかがポイントだと考えられるが、TVなどで報道されなければ、国民が知る機会も少なく、したがって論議の機会さえも奪われしまっている。TVの報道番組、例えば我々国民の見方を自認する「報道ステーション」にもぜひ解明して欲しい課題だ。

◆ 1億円超の物件をぽんと寄付

 ところで、2007年7月、政治資金規正法が改正され(1月1日に施行)、「資金管理団体による不動産の取得等の制限」が追加された。
「第19条の2の2 資金管理団体は、土地若しくは建物の所有権又は建物の所有を目的とする地上権若しくは土地の賃借権を取得し、又は保有してはならない」(平成19.7.6法律107号)というものだ。

 また、先週発売された『週刊新潮』(「密かに『疑惑事務所の処理』を始めた小沢代表の『総理戦略』」2008.7.17)では、問題となっているマンションの一つ、「グラン・アクス麹町」の物件は、7月1日、陸山会から、テナントとして賃貸していた「ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター(会長:小沢一郎)」に寄付され、移転登記されたことを報じている。

 これまで、小沢氏(または資金管理団体)の資産は、「いざ政権を獲るときに活用しようという前提で残している」(小沢氏の資金管理団体の会計責任者平野氏談話 『週刊文春』2007.10.25)と説明されてきた。
 隠し資産疑惑について、強気の説明をしてきた小沢氏も、政権奪取を目指した衆院選を前に、国民の理解が得られるように身綺麗にしておこうということか。
 しかしそれなら、売却して民主党に寄付してもよさそうなもの、と考えるのは、いまだ政治家に夢を託そうとしている庶民の感覚か。

*pdfもあわせてお読みください。

「genndai-giwaku.pdf」をダウンロード

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コメント

金権政治という言葉を生んだ田中角栄の申し子という事でしょうか。
汚い金に塗れた権力亡者にすがるポピュリズムの末路が見えてくるようです。

投稿: 石ノ森章太郎 | 2008年7月18日 (金) 10時47分

切れのある取材と語りとBGM、なんといっても報道の視点が「よう言うたっ!」って感じで、気持ちが良いです。
今度は、創価学会の政教一致問題と、それを批判する石井一氏の崇教真光との関係を、対比して検証してみてください。
これからも、頑張ってくださーい。

投稿: 永田文士 | 2009年2月12日 (木) 19時22分

小沢一郎の政治資金疑惑問題は徹底的に調べ上げて実態を明かすべきである。
まさしく金と権力に明け暮れしてきた真相が解明されるべきである。
今に始まった事ではなく自民党時代からの行動を顧みても政治家としての、あるまじき行動が見えてこない。
自分の都合の悪い時局になると姿を現さない。チャンス到来ともなると支持者を立てて
政界を自由に操る行動に出る。まさしく権力のある独裁者が仕掛ける行為となんら変わらない。本来の政治家としての資質にそぐわないものである。その背景には不当の裏金が蓄えられている。

投稿: ボランティーア | 2011年5月16日 (月) 20時16分

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